
円形脱毛症
再発を繰り返すこともある疾患です。
円形脱毛症について
円形脱毛症には、コイン大の脱毛を始め、頭部全体や全身に脱毛範囲が広がるもの、生え際が帯のように脱毛するものなどがあります。
円形脱毛症は、自己免疫反応の一つであると考えられており、毛髪を生成する毛母細胞が炎症細胞(T細胞:リンパ球の一種)に特異的に攻撃された結果、脱毛します。
治療方法
外用療法
- 外用療法
- ステロイド外用
- 塩化カルプロニウム外用
(フロジン外用) - ミノキシジル外用
(自費診療)
内服療法
症状に応じて、セファランチン、グリチルリチン、抗アレルギー薬の内服を行います。
また、発症の急性期や中等症例では、ステロイドの経口内服を選択することがございます。
重症例(症状が発症してから半年以内の場合)では、ステロイドパルス療法(ステロイドを3日間にわたり大量に点滴する治療法)や頭部全体の50%以上に脱毛、かつ過去6ヵ月に再生なしの場合は、JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬(リットフーロ)やJAK阻害薬(オルミエント)の経口内服療法を検討いたします。
『リットフーロ』と『オルミエント』の薬剤費
※左右にスクロールさせてご覧ください。
リットフーロカプセル 50mg |
オルミエント 4mg |
オルミエント 2mg |
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1錠あたり薬価 | 5,584.30円 | 4,820円 | 2,472.5円 |
3割負担(28日分) | 46,908円 | 40,488円 | 20,769円 |
- ※2025年6月現在の薬価をもとに計算しています。
医療費助成制度について
リットフーロやオルミエントを投与される場合に利用ができる可能性がある主な助成制度は下記の通りです。
高額療養費制度
- 医療機関や薬局の窓口で支払った1か月の医療費が、ある一定額を超えた場合にその超えた分の金額が支給される制度です。
- 世帯合算:同一の医療保険に加入する家族は、自己負担額を合算して申請する事ができます。
- 多数回該当:直近の12か月間に、同じ健康保険に加入している家族間(同一世帯)で、高額療養費の支給を3回以上受けている場合、4回目から自己負担限度額がさらに低くなります。
- 申請について:高額療養費の支給(払い戻し)を受けるには、事前申請と事後申請の2つの方法があります。
- 事前申請(支給):事前の手続きで「限度額適用認定証」の交付を受けることにより、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額以内にとどめることができます。
- 事後申請(払い戻し):受診時に医療機関の窓口に「限度額適用認定証」の提示ができなかった場合は、一時的に、医療機関の窓口で全額を支払った後、加入している健康保険に規定の手続きをすることで、払い戻しが受けられます。
医療費控除
- 1年間にかかった医療費の総額が10万円を超えた場合、確定申告の際の手続きを行うことで、税金の一部が減額される制度です。
付加給付
- 企業などの健康保険組合や共済組合によって、独自の給付制度を設けている場合があります。一定額を超えた分が付加金として給付されます。
その他の治療
- 液体窒素による凍結療法
- 紫外線療法
- 紫外線の免疫を調整する作用を活用します。
紫外線照射により、毛母細胞を攻撃しているT細胞を自然死(アポトーシス)に向かわせ、免疫機能を正常に保つ制御性T細胞を誘導することで病勢がおさまっていきます。当院ではエキシプレックス308を使用いたします。
保険適用の治療ですが、月に1回だけでなく、より頻繁な治療が必要です。そのため、クリニックの選択が非常に重要となりますので、通いやすいクリニックを選びましょう。 - ステロイド局所注射
- ステロイドパルス療法
- ステロイドを3日間、短期間に点滴で大量投与します。発症後早期であり、脱毛が急速に進行し範囲の広い場合に行う治療法です。必要と判断した場合は連携病院へ紹介します。